桜咲車両工場ブログ支区

桜咲車両工場の別館。 工作記録を中心に、名古屋から鉄道まみれの日々をお送りします。

えちぜん鉄道 新・新福井駅へ
Twitterの方で、新福井駅で呟いた写真が突如RTされ始めてビックリした次第なのですが…
そういえばせっかく撮って来た写真も整理・アップしていないな、ということで訪問から1か月強経っているものの記事にしてみました。


▲世にも珍しい?「高架駅+構内踏切」
さて、本題に入る前に背景をば。

2015年11月現在、福井駅前を中心に「福井駅付近連続立体交差事業」が行われており、JR線の高架化・えちぜん鉄道の高架化、そして北陸新幹線の乗り入れ準備工事が進められています。

事業の目的はもちろん福井駅周辺の道路渋滞の解消。これまで南北を遮っていたJR線とえちぜん鉄道を高架化することで東西間の交通を円滑化が目指されています。
これと同時に北陸新幹線の延伸を睨み、JR線とえちぜん鉄道の間に北陸新幹線向けの新幹線規格の高架橋建設が計画されています。

平成17年4月のJR線高架開業後もえちぜん鉄道は地上駅のまま残っていましたが、先行して建設された「北陸新幹線用の高架橋」を使用し、平成27年9月27日からえちぜん鉄道の仮線が供用開始されました。
これにともない従来の地上線が撤去され、今後はその跡地に「えちぜん鉄道用の単線高架橋」が建設されることとなる予定になっています。
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さて、この仮線の開業に伴い福井駅・新福井駅・福井口駅の3駅が従来線の西側に移設されて仮駅となり、福井駅・新福井駅は将来の北陸新幹線の高架上に仮駅が設置されました。

この工事で特徴的なのは、やはり高架上に設置された福井駅と新福井駅でしょう。
新幹線用に建設された高架橋ですから、在来線のそれと比べるとやはり広々としています。

 そしてあくまでも数年しか使われない前提の仮線ですから、駅施設も仮住まいとなります。
新福井駅はその「仮住まい」を極めたような佇まいで、ホームこそ対向式ホーム2面2線であるものの地上に降りる階段は1箇所のみ、上下線を結ぶのは「構内踏切」と従来の高架駅という概念を覆すような駅が出現しました。



明らかに高架橋の上なのですが、目の前にあるのは「踏切」。
事情も理屈も理解出来ていて、尚且つ現場に来ても現実がなかなか受け入れられません(笑


▲福井口・勝山・三国港方面を望む

階段が1箇所しか設置されなかったのは、恐らく場所の問題。
というのも高架橋の西側はJR線高架橋にピッタリ接しており、階段を作る余地はありません。

ホーム端から地上へ向け階段を造ろうにも、新幹線用の高架橋ですからこのためだけに穴を開けて置いて階段を設置…というのもコスト高ですし、わざわざそれをやる意味も感じられません。


▲旧・新福井駅と仮・新福井駅

上り線側に設けられた地上への階段も「完全に高架橋の外」に設けられています。
極力高架橋自体を弄ることなく、仮線として活用するための工夫というわけですね。

利用者も「もの凄く多い」というわけでは無いようですし、設備としてこれで充分なのでしょう。

さて、話はホームの方へ戻りまして…


▲福井口の車庫へ向かう回送列車

新福井駅を出た下り列車は複線のまましばらく高架橋を走り、アプローチ橋を一気に駆け下って福井口駅へと至ります。

高架橋は面白いようにブッツリと切られ、そこからは「ザ・仮線」とでも言えるような木枕木&鋼材で組まれたアプローチ線で地上へと降りていきます。
この高架の切れる部分に分岐器が挿入され、そこからが複線区間となり北陸新幹線の本線になる部分の真上に1067mmの軌道が敷かれています。

架線柱も仮、線路も仮。しかし地盤は新幹線仕様。このアンバランス感はなんとも言えない面白い光景です。


▲福井駅方面

新福井駅と福井駅は非常に接近しており、新福井駅を出た瞬間に福井駅の場内信号があり、25km/h制限を受けつつ列車は福井駅へと進入していきます。
新幹線高架上に2灯式信号、というのも珍しいでしょうね(笑

こちらは下り方と異なりバラスト軌道が続いていました。

ちょうど朝ラッシュが終わる時間帯に訪問したからか、2両編成のMC7000形が営業列車で上っては回送で下って来るのに加え、単行のMC6000形が回送で上り営業列車で下ってくる、と列車間隔が狭く非常に飽きない一時でした。

この時間帯ばかりは複線の威力がいかんなく発揮されていたのですが、これが単線になってしまうと所用時間も少し多めにかかってしまいそうですね。
※事業計画にはえちぜん鉄道の正式な高架橋は「単線」とされています。
利用者目線では「数分」も大きく感じるものですから、心配な点ですね。

数年後にえち鉄高架が完成すれば、今度は北陸新幹線の正式な工事が始まり、いずれ乗り入れも現実化するでしょう。
そしてえちぜん鉄道とは反対側のロータリーでは福井鉄道"ヒゲ線"のロータリー乗り入れ工事の真っ最中。

チェックし始めたばかりの"ほぼニワカ"みたいなものですが、福井駅周辺の変化は今後要チェックですね。

○参考資料…福井県土木部都市計画課発行「福井駅付近連続立体交差事業(えち鉄高架化事業)」
http://www.city.fukui.lg.jp/kurasi/koutu/public/echitetsurennkei11_d/fil/4.pdf
※PDF注意

▽おまけ?▽


新福井駅前には片側2車線の道路があるのですが、旧線の踏切手前では停止線が消され「そのまま進め」の文字が。

踏切警報機が撤去されて「もう止まらなくていいですよ」という文字看板が出ているのはよく見かける光景ですが、道路への塗装で「そのまま進め」というのはなかなか珍しい気が。
そしてなかなかにカッコイイ字面です(笑

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